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出雲大社の4 つの鳥居と正しい参拝方法

2013年1月号のメルマガ(箱型未来通信)でご案内させて頂きましたが、島根県の出雲地方は古来より神話の世界と深い関わりがあります。今回はそんな「神話のふるさと出雲」についてご紹介したいと思います。
出雲といえば出雲大社が有名ですが、出雲大社にある4つの鳥居が「鉄筋コンクリート製」、「木製」、「鉄製」、「銅製」とそれぞれ全部違った素材でできていることは、意外とあまり知られていません。まず本殿から一番遠くにある鳥居が@神門(しんもん)通りの大鳥居、次にA勢溜(せいだまり)の正面鳥居、B下り参道の先・松並木の参道の鳥居、本殿に一番近い場所にある鳥居がC拝殿前の銅鳥居になります。
神門通りの大鳥居
(鉄筋コンクリート製)
勢溜の正面鳥居
(木製)
松並木の参道の鳥居
(鉄製)
拝殿前の銅鳥居
(銅製)
出雲大社の正しい参拝は、これらの4つの鳥居のうち一番大きい神門通りの大鳥居(鉄筋コンクリート製)から始まります。
神門通りの大鳥居は「道の駅大社ご縁広場」の近くにある宇迦橋(うがばし)のたもとにあり、高さが出雲大社の本殿より1m低い23m、柱の周囲は6m、中央部の額は畳み6畳分の大きさがあります。日本一高い鳥居かと思いましたが、日本一高い鳥居は和歌山県の熊野本宮大社にある大鳥居で、その高さは33.9mもあるそうです。ご存知の方もおられるかも知れませんが、鳥居は神社の玄関であり大変に神聖なものです。鳥居の下を通る時は中央を避け、少し左右に寄り軽く一礼してから通るようにしましょう。
表参道・神門(しんもん)通り
神門通りの大鳥居を通り、たくさんのお店が立ち並ぶ表参道・神門通りを抜けると、勢溜の正面鳥居(木製)が目の前に見えてきます。勢溜の正面鳥居の回りは昔、大きな芝居小屋などが建ち非常に賑わっていたそうです。人の勢いが溜まるところから勢溜という名が付いたとされています。
勢溜の正面鳥居を通り過ぎると、本殿に向かって「下り参道」が続いています。
この「下り参道」を暫く歩くと、その中ほど右手方向に社が隠れています。注意しないと見過ごすくらいに小さな社です。ここは「祓社(はらえのやしろ)」と言われており、私たちが知らぬ間に犯した心身の汚れを祓い清めてくれる場所です。最初にここで心身を清めてから出雲大社に参拝しましょう。
「下り参道」を通り過ぎると、今度は樹齢400年を越える「松の参道」が見えてきます。
松の参道は3つの路に分かれており、真ん中の路は昔、身分の高い人だけが通ることを許されていたそうです。今は松を保護するために通行が禁止され、両脇を歩くように注意書きの看板が立っています。
松並木の参道の鳥居(鉄製)を通り、玉砂利の上を本殿に向かってさらに足を進めると、左手に「手水舎(てみずや)」が見えてきます。柄杓(ひしゃく)を使い手と口をここで清めてください。お清めが終わり気持ちを静めれば、いよいよ拝殿前の銅鳥居(銅製)を通りご神前に進み出て参拝です。
普通の神社では手を二回打つ二拍手が一般的ですが、ここ出雲大社は四拍手が正しい作法です。二度拝礼して四回拍手(かしわで)打ち最後にまた一回拝礼する「二礼四拍手一礼」です。お祈りは自分の住所、名前を心の中で言った後にお願い事をします。
全国的にも珍しい「下り参道」
祓社(はらえのやしろ)
4つの鳥居を通り心を整えて出雲大社に参拝すれば、きっとあなたの願い事は叶い良いご縁に巡り会うのではないでしょうか。以前はコインを投げてしめ縄に刺されば運が良いという占いのようなものがありましたが、現在は禁止されています。平成の大遷宮(だいせんぐう)が終わるまでは、以上が参拝の順路となります。
余談になりますが、出雲大社にはご利益となるスポットがあります。その1つが、拝殿前の銅鳥居です。実はこの銅鳥居に触ると金運がアップすると言われています。
もう1つは、拝殿前の銅鳥居を通り左手にある神馬(しんめ)・神牛(しんぎゅう)です。特に神馬は「かねおまさん」と呼ばれ、鼻の部分を触ると子宝を授かると言われています。たくさんの観光客に触られて、神馬・神牛の鼻はピカピカに光り輝いています。
手水舎(てみずや)
出雲大社の参拝
(二礼四拍手一礼)
しめ縄
(長さ6.5m、重さ1t)
神馬(しんめ)
(かねおまさん)
神牛
(しんぎゅう)

出雲大社の由来と巨大本殿

出雲大社は伊勢神宮や日光東照宮などの格式の高い神社と並ぶほどの日本有数の神社で、古代より多くの人々から崇(あが)められてきました。
出雲大社の祭神である大国主大神様(おおくにぬしのおおかみさま)は、須佐之男命(すさのおのみこと)から始まった出雲王朝を繁栄させ遠くは北陸から近畿、四国、山陽の地までも支配していたと言われており、「大国様(だいこくさま)」として慕われています。

現在では、縁結びの神様として広く知られています。出雲市にある「荒神谷(こうじんだに)遺跡」、「加茂岩倉(かもいわくら)遺跡」からは多数の銅剣と銅鐸(どうたく)が出土し、出雲王朝の存在を裏付けています。
大国主大神様
(おおくにぬしのおおかみさま)
(大国様 (だいこくさま) )
なぜ、出雲王朝がそれだけ巨大な勢力を誇っていたのか、その理由の1つに、出雲平野の高い農業生産力と日本海や宍道湖・中海、神西湖などの豊富な水環境に加えて、奥出雲地方で鉄が豊富に産出できたという地理的好条件があったそうです。出雲大社の由来は古事記の中の「国譲り伝説」の中に記されています。
荒神谷(こうじんだに)遺跡 (銅剣:358本出土)
それによると、豊かな出雲の国を天界から見ていた天照大御神(あまてらすおおのかみ)(ヤマト王朝の開祖)は、自分の子孫が治めるべきだと武槌甕神(たけみかづち)を出雲の国に送り込み大国主大神様に迫ります。
「稲佐(いなさ)の浜」で談判した結果、下界の出雲の国は天照大御神の治める天界の「高天原(たかまがはら)」に譲られることになります。この時、大国主大神様が平和的に国を譲ることと引き換えに要求した巨大な宮殿が出雲大社であると言われています。
そして、大国主大神様が「これからかくれたる神事を治める」と言われたことから、以後、大国主大神様は人の運命や縁など「目に見えないこと」を、天照大御神は現実の世界である「目に見えること」を司ることになったそうです。
稲佐(いなさ)の浜
巨岩:弁天島(べんてんじま)
しかし、大国主大神様が本当に出雲の国を平和的に譲ったのか、あるいは天照大御神を開祖とするヤマト王朝との戦いに敗れて奪われてしまったのか、見方を変えれば色々な解釈ができるので議論の分かれるところだと思います。
いずれにしても、その後、出雲王朝は衰退しヤマト王朝による国土統一が進むことになります。なお、稲佐の浜の近くには国譲りの話し合いをした場所として伝わる「屏風岩(びょうぶいわ)」があります。
屏風岩(びょうぶいわ)
出雲を舞台とした古代史はこのあたりで終わりとし、ここから先は、出雲大社の本殿がどれほど巨大であったのかその大きさについて触れておきたいと思います。
出雲大社の本殿は日本で最も古い神社建築様式で国宝に指定されています。高さは24mありますが、昔は今の2倍の48mの高さがあったと言われているから驚きです。48mと聞いても想像し難いかも知れませんが、出雲大社の神楽殿(かぐらでん)の前にある国旗掲揚台の高さが47mですので、見比べると本殿がどれほど高かったのか実感することができます。当時の建築技術で48mの高さの高層建築をどうやって作ったのか、長い間伝説とされてきました。
出雲大社の巨大本殿 発掘された「宇豆柱(うづばしら)」 実物大の「心御柱(しんのみはしら)」
しかし、2000年に本殿八足門(やつあしもん)前の出雲大社境内遺跡から本殿の床を下から支えていたとされる「宇豆柱(うづばしら)」が発見され、その後9本の柱の中央に位置し神が宿るとされる「心御柱(しんのみはしら)」が発見されたことから高層本殿の可能性が一挙に高まりました。出雲大社の八足門前には、巨大本殿を連想できるように宇豆柱発掘跡の印が残されています。
昨年の夏から秋にかけて京都と東京で開催された「古事記1300年・出雲大社大遷宮特別展」には、重要文化財に指定されている「宇豆柱」の実物が出品され、天皇、皇后両陛下もご覧になられました。発掘された「宇豆柱」は、出雲大社の東隣にある島根県立古代出雲歴史博物館で展示されています。

出雲大社の平成の大遷宮(だいせんぐう)

出雲大社では現在、60年ぶりに本殿の修復や厚さ1mもある檜皮葺(ひわだぶき)屋根の葺き替え工事(平成の大遷宮)が進められています。この事業は2013年の3月に完了して5月には大国主大神様を「御仮殿(おかりでん)」から本殿に遷座する「本殿遷座祭(ほんでんせんざさい)」が行われる予定になっており、多くの来訪者が予想されます。
今回の本殿では4回目の御遷宮で1953年(昭和28年)以来となります。「御仮殿」は1959年(昭和34年)に拝殿として総檜(ひのき)造りで再建されたもので、2012年4月から遷宮中の大国主大神様の仮のお住まいとなっています。そのため、2013年の5月までは、大国主大神様のお近くで参拝をすることができます。
御仮殿(おかりでん)
(拝殿)
工事中の本殿
(八足門(やつあしもん)前から)
出雲大社本殿
今年の正月に、出雲大社へ参拝しましたが八足門はまだ工事中で、修理が終わった本殿の屋根の一部分しか見ることができませんでした。今年の5月には美しくきらびやかな社殿がよみがえり、新調された檜皮葺屋根や防水のためにエゴマ油や松ヤニ、鉛、石灰などを混ぜて黒に塗装(ちゃん塗り)された千木(ちぎ)や勝男木(かつおぎ)を130年ぶりに見ることができます。なんだか楽しみでワクワクしてきませんか。

出雲大社の神在祭(かみありさい)

旧暦の10月は一般に「神無月(かんなづき)」と言われていますが、ここ出雲では全国の八百万(やおよろず)の神々様が集まり男女の縁組みなどについて会議をされることから「神在月(かみありづき)」と呼ばれています。
地元には「神在月」の期間、神々様の邪魔をしないように建築や土木工事、掃除や爪切りをすることを遠慮し忌み慎む風習があります。旧暦の10月10日は、夕刻から出雲大社の西方約1kmにある「稲佐の浜」で「神迎祭(かみむかえさい)・神迎神事(かみむかえしんじ)」が執り行われ、翌旧暦の10月11日より1週間にわたって出雲大社において「神在祭」が開催されます。ご到着された神々様は出雲大社に滞在中、本殿の東西に1棟ずつある「十九社(じゅうくしゃ)」と呼ばれるお社に宿泊されます。
「神在祭」の間は、普段閉まっている「十九社」の扉が全て開かれ一般公開されます。貴重な光景ですのでぜひ見ておきたいですね。ちなみに、八百万の神々様は、出雲大社から稲佐の浜に行く途中にある上宮(かみのみや)と呼ばれるお社で神議(かむはかり)(会議)を行います。
神迎祭(かみむかえさい)、
神在祭(かみありさい)
神迎神事(かみむかえしんじ)
(神楽殿)
十九社
(じゅうくしゃ)
上宮
(かみのみや)

たくさんのお店が立ち並ぶ出雲神門通り

昨年、古事記編纂(へんさん)1300年の記念の年を迎えたことから、2012年7月21日〜2012年11月11日の間「神話博しまね」が、島根県立古代出雲歴史博物館をメイン会場として開催されました。
これにあわせて、一畑電車の出雲大社前駅から出雲大社正面までの約330mの神門通りが趣のある石畳に生まれ変わり装いを新たにしました。御影石(みかげいし)を1万枚以上使用しており、古い松の木や木造の土産物屋などの店舗と調和するように配慮されています。
最近、神門通りはお土産を売っている「ご縁横丁」、勾玉(まがたま)やアクセサリーなどご縁グッズを売っているお店、古い旅館を改装したおしゃれなカフェなど新しいお店が相次いでオープンし大変賑わっています。有名な「出雲そば」や発祥の地とされている「出雲ぜんざい」を売っているお店もあります。
出雲そば 神門(しんもん)通りのお店 出雲ぜんざい
まだまだおいしい特産品はありますが、お土産として「シジミ」もお勧めです。島根県は日本有数の汽水湖である宍道湖・神西湖があり、「大和シジミ」の産地として有名です。「大和シジミ」は0.3〜1.0%の塩分濃度を好むと言われていますが、宍道湖・神西湖はちょうどこの塩分濃度と同じ水質で「大和シジミ」の生育環境に非常に適しています。そのため、アラニン・グルタミン酸などの旨み成分が生成され肉厚で良質な「シジミ」ができるのでしょう。宍道湖の中でも北側には大粒の「シジミ」が、南側には小粒の「シジミ」が生育しており、特に産卵前の5月後半から7月半ばが1番おいしいそうです。2日酔いには「シジミ」汁と言われるように、「シジミ」には肝臓の疲労回復を早めたり、肌を活性化させ美容をサポートするオルニチンが含まれています。大切なあの人に、体想いの「大和シジミ」をお土産の1つに入れては如何でしょうか。

おしまいに、出雲美人について

王朝時代から京都の公家は、美しい女奉公人を出雲から呼ぶ伝統があったそうです。日本を代表とする芸能・歌舞伎の始祖として知られている「出雲阿国(いずものおくに)」やテレビでよく見る女優の江角マキコさんは出雲市大社町の出身です。
出雲大社の西に奉納山(ほうのうざん)という小高い山(標高75m)があり、その中腹にある奉納山公園には歌舞伎の創始者・出雲阿国を記念し、現代歌舞伎の俳優たちが寄進した「於国塔(おくにとう)」が建っています。
そんな出雲美人を裏付けるような実験結果が、昨年11月に某化粧品会社から発表されました。
それによると、全国47都道府県の女性の肌データを分析する「美肌県グランプリ」を行った結果、最も美しい肌を持つ「美肌県」第1位はなんと島根県でした(2位:山梨県、3位:高知県)。
於国塔(おくにとう)
その理由は、島根県は@紫外線の影響を受けにくいこと、A空気中の水蒸気密度が高く肌のうるおいにとって良い気象条件が揃っていること、B喫煙率が全国で最も低いことが考えられるそうです。ひょっとすると、山陰出雲に集まる神々様の後押しもあったのかもしれませんね。

それでは、みなさん日本人の精神的なふるさと、出雲の地にぜひ一度お越し頂き、おちらと*1たばこしながら*2町歩きを楽しんでください。まげな*3見所がまだまだありますよ。お待ちしております。

注)出雲弁:*1おちらと→ゆっくりと、*2たばこする→休憩する、3まげな→すごい
歌舞伎役者や女優も訪れる
「出雲阿国(いずものおくに)」のお墓

参考文献)梅原猛,葬られた王朝 -古代出雲の謎を解く-,新潮文庫,2012