箱型擁壁カタログ
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12二次元動的FEM解析関東ローム地盤 H=14m・L2地震動・1:0.5(実験ステップ2関東ローム地盤のケースに相当)検討手法遠心実験動的解析遠心実験静的解析遠心実験動的解析遠心実験動的解析遠心実験動的解析遠心実験遠心実験動的解析検討項目崩壊発生の有無、加振中・後の箱体変位箱体変位破壊形状破壊形状。また、設計上の限界擁壁高さは、実験・解析と比較して安全側かを確認。室内土質試験等から決定した地盤定数による設計計算と実験・解析結果を比較し、設計上cを考慮する事が適切かを検討。背面作用土圧。また、設定震度で設計された限界擁壁高さが実験・解析と比較して安全側か。設計で想定する底盤幅Bから破壊形状(くさび形状)が発達するかを確認。ジオテキスタイルの有無で安定性や変形抑制がどの程度向上するかを実験・解析で確認。a)耐震性b)設計法c)対策工法検討課題(1)地震時の安定性と変形特性(2)破壊モードの検討(3)施工くさび法を用いた もたれ擁壁設計法の適用性(4)粘着力cを見込んだ設計法(5)設計水平震度のレベル設定(6)安定検討に用いる底盤幅Bの検討(7)ジオテキスタイル組合せによる 耐震性向上効果検討結果箱型擁壁は地震時に想定される荷重に対して、崩壊に対する安定性を有し過大な変形も生じない、十分な地震時の安定性と変形特性を有することが確認された。豊浦砂では、箱型擁壁の崩壊の際には、最下段箱体背面を通る直線状のすべりが背面土に発達し、これは施行くさび法で想定される破壊モードと類似である事がわかった。実験の直線状のすべり形状は試行くさび法で想定される破壊モードと同様であり、また、もたれ擁壁設計法を準用した箱型擁壁設計法は実験と比較して安全側の計算結果を与えるなど、その適用性は高い。背面土の粘着力cを設計上考慮することはある程度妥当であると判断される。ただし、粘着力cを過大に見込むと背面土圧がほとんど作用せず危険側の判断となるため、その取り扱いには注意が必要である。箱型擁壁設計法では、擁壁工指針に準拠して設計水平震度を設定(Kh=0.1~0.2程度)しているが、その値は妥当と判断される。箱型擁壁の破壊モードから検証すると、底盤幅Bは見直しが必要と考えられる。遠心実験では、ジオテキスタイルの敷設により、地震時安定性は著しく増加した。また、解析では一割程度の変形抑制効果が認められた。剛構造プレキャストRC擁壁の壁面変位最大時の水平応力図柔構造箱型擁壁の壁面変位最大時の水平応力図剛構造もたれ式擁壁との変形挙動の比較箱型擁壁設計では試行くさび法による土圧算定で粘着力Cを見込んでいるが、これが妥当であるかを関東ロームの実験結果を対象に検討した。関東ロームの三軸圧縮試験および遠心載荷実験後に採取した試料による一面せん断試験の結果を表に示す。試験方法によるばらつきもあるが、ロームのせん断抵抗角は全応力でφ=3~26゜、有効応力でφ=19~33゜であった。粘着力Cを考慮した試行くさび法の検証結果関東ロームの地盤パラメータを、cを見込まずc=0kN/m2、φ=35゜とした場合とc=10kN/m2を考慮してφ=25゜とした場合の2ケース取り上げ、試設計を行った(下記表参照)。計算結果も同表に併せて示す。cを見込まずc=0kN/m2、φ=35゜とした場合、設計上の限界擁壁高さは5mとなり、一方、c=10kN/m2を考慮してφ=25゜とした場合には、限界擁壁高さは9mとなる。これまで述べてきたように、関東ロームの実験では、設計より大きな加震レベルの神戸波加震においても壁高14mで安定が確保されており、cを見込まないφ=35゜での限界高さ5mでは実験結果と整合しない。また、これまでの1200件を超える施工実績において、箱型擁壁の設計は土質試験に基づき粘着力cを考慮して行ってきたが、地震で崩壊した事例は無い。以上の事実より、背面土の粘着力cを設計上考慮することはある程度妥当であると判断される。但し、粘着力cを過大に見込むと背面土圧がほとんど作用せず危険側の判断となるため、その取扱いには注意が必要である。試験方法0.6410.6250.6610.6420.588.871.484.025.93.611.57.16.719.214.214.732.619.320.020.5乾燥密度ρd(g/cm3) 粘着力c(kN/m2) せん断抵抗角φ(゜)粘着力c(kN/m2) せん断抵抗角φ(゜)全応力有効応力三軸※1一面せん断※2検討ケース352501059<<<1414せん断抵抗角φ(゜)粘着力c(kN/m2)設計で求まる限界擁壁高さ(m)実験で安定が確保された高さ(m)検討ケース1検討ケース2擁壁の壁面最大変位とその最大水平応力(壁高14m,L2地震動)種 別剛構造プレキャストRC擁壁可とう性箱型擁壁壁面最大変位(cm) 1842最大水平応力(kN/m2) 700〜800130擁壁基礎に生じる壁面変位最大時の最大鉛直土圧(壁高14m,L2地震動)最大鉛直土圧(kN/m2)剛構造プレキャストRC擁壁可とう性箱型擁壁かかと910.040.4平均752.593.7種 別つま先595.0147.0備 考背面土擁壁つま先かかと「技術検討課題と検討手法」の主なまとめ※1 事前締め固め試料 ※2 遠心実験後の採取試料
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